家庭医療の実践とキャリア|藤沼康樹先生登壇|イベントレポート|岩倉駅前たはらクリニック

京都市左京区の岩倉駅前たはらクリニックでは「あかちゃんからご高齢の方までみる診療所」として、外来・在宅のプライマリ・ケアを提供しています。2025年1月25日に『岩倉駅前たはらクリニック 医師採用サイト』公開を記念して、『「卓越したジェネラリスト診療」入門(通称:卓ジェネ)』著者の藤沼康樹先生と、田原正夫院長とのトークセッションを開催しました。本記事では、当日の内容から、家庭医療の実践やキャリア、卓ジェネの話、京都の魅力などをご紹介します。
卓ジェネと「インクルーシブな診療」
田原院長(以下、田原):藤沼先生の本「卓ジェネ」は本当に楽しく、すごく勉強になるなと思いながら、たくさん付箋をつけて読みました。この中で「いろんな相談にのる外来」について「4つのタスク」が示されていて、こういう見方や考え方で診療が変わるのかなと思いました。

藤沼先生(以下、藤沼):そうなんですよ。結局、同じ患者さん、同じ現象でも、考え方の枠組みがあると、ぜんぜん違って見えるというのがあって、単なる雑談に見えたものに意味があると感じたり、薬を出したときのちょっとした表情の変化から意味を見出したりすることに、気づきがありますよね。僕自身、病院勤務を10年続けた後に診療所に出て、勉強しながら患者さんを診てきたので、すごく実感としてわかるんですよね。

卓ジェネ 引用
外来診療モデルとして、Stottらによる家庭医外来の「4つのタスク」モデル
- 急性の問題への対応
- 慢性の問題への対応
- 予防医療・ヘルスプロモーション
- 受領行動の調整
田原:僕らが日々課題に思っていることがこの本(卓ジェネ)に書いてあって、勉強になりました。
藤沼:去年の京都大学の地域医療セミナーで田原先生とご一緒させていただいて、診療内容をみたんですけど、けっこう仰天しました。めちゃくちゃいろんな患者さん・いろんなものを診ていて、まさに包括性じゃんこれ、という感じなんですよ。家庭医療を実践する上では「幅広い患者層」「Comprehensiveness」が重要で、聞いてみたいと思っていたんです。
田原先生のクリニックの患者層というか、持ち込まれる問題の多様さ・幅広さというのは、どうやってつくられたのですか?意識されたんですか?
田原:これが、何も意識してなかったんですよね。患者さんや地域の相談に応えていたらそうなっていたという感じです。開業当時、地域には専門的なクリニックが多かったので、隙間を埋めていたというのはあるかもしれないです。最近は、複雑困難症例とか、医学的になかなか治らない症例とか「困ったら、たはらクリニック」のような頼まれ方も増えてきましたね。
藤沼:まさに、インクルーシブな診療ですね。一人でやっていると大変だと思うので、複数人でやったら地域にとってもかなり強力だなと思います。
田原:僕、思うんですけど、朝仕事を始めるときに、今日どんな仕事になるか、どんな患者さんが来るかわからないというのは、プライマリ・ケアやっている中で案外楽しいことなのかなと。開業してこういう環境ができたので、グループ診療で他の先生たちと一緒にやっても楽しくできるんじゃないかと思って、このタイミングで医師採用をすることになったんです。

「京都・岩倉」 の魅力
司会:ここからは先日公開された『岩倉駅前たはらクリニック 医師採用サイト』を実際にみながらお二人の先生の話を聞きたいと思います。今回、「そうだ、京都で家庭医してみよう。」というキャッチコピーで、田原先生は医師採用サイトを公開されたわけですが、制作の経緯を少し教えてください。
藤沼:近隣のカフェ情報なんかもほしいですね。
田原:実は、医師採用サイト内の「京都・岩倉地域はどんなところ?」というページに、近隣のグルメ情報も掲載しています。学会会場としてもよく利用される「京都国際会館」があるのが岩倉なのですが、近くにある「コーヒーレストラン ドルフ」は老舗のカフェレストランで、洋食メニューも豊富です。オープンして40年ぐらいになるらしいですが、今でも行列ができるお店ですね。最近でも、カフェやパン屋さんも新しくできている感じですね。
藤沼:やっぱり住むってなると、飲食店やスーパーがあるといった住みやすさは大事ですよね。私も岩倉には何回か行ったことがあります。僕は写真撮るの好きだから、どこを歩いても写真映えするところが多くて、どんな駅で降りてもいいっていう感じなんで、非常に羨ましいですね。

田原:ほんとにお寺も多くて、山も庭も通り道もちゃんと手入れされているところが多いですね。あとは、四季折々の景色もあって綺麗ですね。京都国際会館の裏に宝が池公園があって、京都では珍しくそこで花火が上がるんです。京都市内は文化財も多いので、花火を上げられないんですけど、岩倉は京都市内で数少ない花火も観られるエリアです。
藤沼:へぇ〜。
田原:はい、そこは非常に便利ですね。岩倉は京都市街からもアクセスがいいので、都心に勤めている方や出張が多い方もけっこう多く住んでいますね。大阪までもすぐ出られますしね。
藤沼:へえ、そうなんだ。鞍馬線だからいいよなあ。
田原:鞍馬線はかなり趣きがありますね。
「インクルーシブな診療環境」 と 「京都という地域」 が最大の魅力——藤沼先生
司会:藤沼先生、最後になりますが、改めて田原先生とお話されて、岩倉駅前たはらクリニックの魅力はどこだと思いますか?

藤沼:僕は「患者層」と「京都という土地」ですね。診療所によっては特定の年齢層・特定の患者層を診ているところもありますよね。それが悪いわけじゃないと思うんですけど、プライマリ・ケアとしては「患者層の多様さ、インクルーシブな診療環境」というのは、トレーニングにもなるし、面白さの一つだと思います。
医師として5年くらい働いた後の次のステップとして(岩倉駅前たはらクリニックは)全然ありだと思います。いろんな形で持ち込まれる健康問題の種類がめっちゃすげえなと思ったので、それが最大の魅力ですね。
あとは「京都という土地の魅力」ですね。土地でいうと、おれが行きたいくらいだよね。就職したいくらいだよって感じですけどね。一回京都に住んでみたいと思っていました。京都という土地は超魅力的だと思います。
田原:ありがとうございました。
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岩倉駅前たはらクリニックでは医師を募集しています。
『京都のインクルーシブな診療環境の家庭医療クリニック』に少しでも興味がありましたら、気軽にお問い合わせください。見学やオンライン面談も受け付けています。
また、当院では「柔軟な働き方」ができます。「週3・週4の勤務」や「平日5時まで勤務」、「オンコールなし勤務」などライフスタイルに合わせた働き方をご相談できます。(→詳細は医師採用サイト「柔軟な働き方ができる!」ページをご覧ください)
※本記事は、イベント当日の内容をもとに編集・再構成して掲載しています。読みやすさを考慮し、発言内容を一部要約・修正していますが、内容としては維持しています。
この記事の登壇者

田原正夫院長
岩倉駅前たはらクリニック

藤沼康樹先生
医療福祉生協連家庭医療学開発センター

岩本修一先生(司会)
株式会社DTG